次回のエコール・ド・東山は、5月10日土曜日14:00から開催します。
田山花袋と稲垣足穂、とにかく、五月は文学三昧!
足穂の『弥勒』、京都では4月5日から、映画が公開されています。0369.jp/
映画を見てからエコールに来るか、エコールに来てから映画を観るか…
『弥勒』にみる稲垣足穂の世界
旦部 辰徳
京都大学大学院 人間・環境学研究科 博士後期課程
京都造形芸術大学非常勤講師
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稲垣足穂は、三島由紀夫から「天才」との賛辞を贈られた作家です。「もっとも微妙な花」として異彩を放った彼の作風は、大正モダニズムの短編童話から昭和初期には次第に半私小説へと変質します。その転節を書いた『弥勒』が映画化されました。原作と映画作品の双方から、時代の転換期を生きた男の赤裸の姿と足穂文学の神髄に迫ります。
告白と小説:田山花袋『蒲団』から紐解く日本近現代文学研究
四方朱子
京都大学大学院人間・環境学研究科 研修員 満期修了
京都大学学際融合教育研究推進センター 研究支援員/ 技術補佐員
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国語の授業では、どうして小説を読んで作者の意図を訊ねるのでしょう。そもそも「小説」ってなんでしょう。日本の自然主義文学に大きな影響を与えたと言われる『蒲団』は明治末期に発表されました。作者自身がモデルであると話題になったこの短編を紐解いて、小説の不思議と近代文学研究の一端を覗き見ます。
開催場所:
ハイアット リージェンシー 京都 地下1階Touzanバー
〒605-0941 京都府京都市東山区三十三間堂廻り644番地2
http://kyoto.regency.hyatt.jp/ja/hotel/our-hotel/map-and-directions.html
ご予約:
各回定員20名 参加料3000円(茶菓子付)
お申込みは、メールまたは電話にてお願いいたします。
電話番号: 090-6662-0360
定員になり次第、受付を終了させていただきます。
どうぞお早目のご予約を!ecoledetouzan@hotmail.co.jp
◆◇◆◇第16回(2014年4月21日)の報告◇◆◇◆
エコール・ド・東山第16回は、一人目発表は現象学的にみた介護、二人目は19世紀イギリス文学と17世紀のオランダ絵画の関係についてでした。
発表してくださったのは、亀田さんと木島さん。お二人の分野はかなり異なりますが、いずれもとても勉強になるお話でした。
重度意識障害の状態にあるAくんの生活
亀田 直子
京都大学大学院医学研究科成育看護学分野 博士後期課程
摂南大学看護学部 小児看護学特任助教
亀田さんは、ご自身の経験に基づいた具体的な症例と思想的な観点の両方から介護の問題について話してくださいました。
ご本人は、元々看護師を医療の現場でされていました。そうした中で、現状をどうにかしていかないといけない、と感じるようになりました。そこで看護のあり方を考えるために、本来進むつもりのなかった研究の道を歩まれたそうです。看護師を目指された切掛けも、高校の時に同級生を癌で亡くされたことであったそうです。こうした個人的な「きっかけ」や「経験」というものを通して話してくださる亀田さんの情熱は、私たち聞き手の心に強く訴えかける力があり、看護に携わらない人にとっても、とても共感できるような気がしました。
具体的には、周囲の人々とのコミュニケーションが困難な「重度意識障害」の方々を細かに観察することにより、認識論としての現象学を通して看護を捉えなおしていく研究をされています。寝たきりの状態で瞬きもままならないお子さんが発するサイン、普段なら見落としてしまいがち、あるいは思い違い、気のせいだ、と自身に言い聞かせてしまいがちなサインをつぶさに観察します。こうした細かな観察を行うには、介護を受けておられるご本人のみならず、介護にあたっている周囲の人々との信頼関係も構築されていなければなりません。そのため、長い時間と根気を有する、定量的でない研究方法となります。A君の場合は、彼のモニター画面に対する反応でした。見ているのか見ていないのかわからないモニター画面を彼の視界から外すと、ほんの少しですが頬と口角が下がる、という変化でした。こうした変化や印象をただの「思い違い」と片づけずに拾い上げていくのは大変な作業です。そして現状では看護師や医者等が患者一人ひとりの微々たるサインを汲み取る余裕がないのは想像に難くありません。
お話はまずは、現象学とは何か、実存主義とはどういったものか、といった観念的なことから始まりました。最初、こうした内容はどのように介護の問題と繋がっていくのだろうと思いを巡らしながら聞いていましたが、お話を聞くにつれ、まさしく実体験に基づいた形でリンクしていったのが印象深かったです。
亀田さんの発表を聞いていますと、あらゆる研究において――それがいかに観念的に聞こえる研究であっても――、そこに進む動機や契機というものがいかに個人的な体験や思いに端を発しているのか、ということに改めて気づかされる思いがしました。当たり前のことですが、忘れがちになってしまっているような気がします。そして、そうしたごくごく個人的な体験や、主観と取れてしまうような小さな相手からのサイン等がいかにより広義で、普遍的な研究に還元されていくのか、という構図を見せていただいたように思います。
イギリス文学とオランダ絵画
―19世紀イギリスにおけるリアリズム文学とジャンル画の関係について―
木島 菜菜子
京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期修了 現大谷大学助教
木島さんは、19世紀のイギリス文学と17世紀オランダの絵画との関係の話をしてくださいました。これらの時代も分野も異なる二つを、当時のありのままの社会を映し出す表現として関連付けて紹介してくれました。
まずは19世紀イギリスのリアリズム文学の第一人者、チャールズ・ディケンズの代表作『クリスマス・キャロル』のお話。守銭奴スクルージがクリスマス・イヴの不思議な体験を機に信仰心を取り戻していくお話です。木島さんはこの小説を授業で幾度か取り上げる機会があったそうですが、多くの生徒からは「面白くない」という反応が返ってきたそうです。木島さんは「信仰心をなくした私たちは素直に感動しない」作品ではないかと仰っていました。しかしこの作品は19世紀のイギリス社会のあり方や人々の生活をまさに反映する作品として、当時の人々の間で爆発的な人気を誇りました。当時は産業革命の影響を受けた労働階級の台頭により、一般庶民が教育を受け、読み書きができるようになってきていました。人々は都市に集中し、休日や余暇を楽しむ文化が花開き始めていました。こうした余暇を、文化的な活動――それまで上流階級に独占されていた――に宛がう人々も増えてきていました。ディケンズはそのような社会層の人々を描き、読者もまたそのような人々たちでした。
元来イギリスには、ダニエル・デフォー、ジョナサン・スイフト、ウォルター・スコットなどの小説家の系列がありますが、こうした小説は基本的にはフィクション、非日常的な世界や中世世界を扱っています。19世紀に入ると、こうしたものと一線を画した、等身大の世界を投影している小説を求める傾向が現れます。木島さんはディケンズの素晴らしいところは、普段の面白くもなんともないところを、想像力の力で面白いものに仕立て上げていくところだと指摘しています。例えば、物が人間のようになり、人間が物のようになるなど、日常が見たこともない風景と変化していきます。一躍時代の寵児となったディケンズですが、同じリアリズムの潮流の中で批判する者もいました。ジョージ・ヘンリー・ルイスは真っ先に異議を唱えた人でした。彼は作家ジョージ・エリオット(本名メアリー・アン・エヴァンズ)の夫で、小説とは現実に空想を働かせて加味するのではなく、現実を忠実に再現しなくてはならないと考えていました。(ちなみに、同様に男性/夫の名前を借りたペンネームで活躍していたフランスの女流作家ジョルジュ・サンドとの関連も、個人的に気になりました。)
このように19世紀に自意識的に探索されたリアリズムは、すでに17世紀のオランダにも存在していました。宗教争いから逃れた人たちが住み着いたオランダでは、画家は宗教的な後ろ盾なく、パトロンなしに生き延びなくてはなりませんでした。そうした画家たちが描いたものが、人々の日常を写し出すジャンル画でした。絵画の買手は商人たちで、富を築いた者たちは肖像画などを通して、宗教画ではない「自分たち」の芸術を欲していきます。その最も有名な例がレンブラントです。こうした、市民が豊かになり自分たちの芸術を模索し始めるという構造は、まさしくイギリス19世紀の状況と一致しています。
19世紀ヴィクトリア朝は、イギリス文化が華やかに栄えた時代でした。しかし産業革命の恩恵の一方で(例えば1930年代には鉄道が敷かれます)、豊かさの陰に喘ぐ貧しさが形成された時代でもありました。こうした社会の暗部まで描き出したディケンズには、多くの作家のみならず画家も共鳴していきます。エリオット、ディケンズは作風が異なるものの、同じ社会を描き出し、また同じようにオランダのジャンル画にルーツを見出していました。
木島さんのお話を聞いていますと、今日の「大衆」(ないし「労働者階級」)とはなんなのか、という考えがよぎります。私たちがエコール・ド・東山でシェアしたい知識・文化とはいったい何なのか。誰と共有していきたいのか。こうしたことに関して、いつも参加くださっている「ちーさん」(ブログ名)がご自身のブログでコメントされておられ、もっと考えていかなくてはならないな、と反省しつつ読ませていただきました。
「ちーさん」のブログ:
http://chee.ch/diary/2014041200/1.shtml#a010102
本日のケーキ:
オレンジのムースとベイクド・チーズケーキ。濃厚なチーズケーキと酸味の聞いたムースの組み合わせでした。パティシエたちが丁寧にお皿に並べてくれています。
本日のお花:
中庭の桜がみごとでした!
コメント
コメント一覧 (7)
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