2014年11月8日の回を終了いたしました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。報告内容は後半を御覧ください。

さて、おかげさまで、2014年12月13日の回も満席となりました。みなさまにお目にかかれるのを楽しみにしております。

現在、来年1月の予約受付中です。詳細について以下のとおり、お知らせをいたします。

1月のふたつのトピックは、我々が身近に使っている情報システムの開発の裏側や問題点について、バレエの古典から現代にいたる変容についてです。

開催日:2015年1月10日 土曜日 14:00~16:00(13:30開場)

人を手助けする情報システム

―完璧ではない情報技術をいかに有効活用するのか―

宮部 真衣
京都大学 学際融合研究推進センター 研究員

私たちの生活の中では、目に見えるものから見えないものまで、いたるところでコンピューターが使われています。今回は、“外国人患者と医療者との対話を助ける”、“デマの発信を自動的に防止する”など、みなさんの生活の一部を支援するソフトウェアの開発事例について紹介します。

バレエにおける古典の再解釈

より深い人間性の表現を求めて

田川 千尋

元 京都大学高等教育研究開発推進センター特定助教

現 大阪大学未来戦略機構第5部門 特任助教

バレエといった時にどんな作品や動きを思い浮かべますか? バレエと一言で言ってもその言語や構成、扱うテーマは時代とともに変化し続けています。本発表では古典作品への独自の解釈で個性が光る振付家マッツ・エクの作品を中心事例に現代までのバレエの変容を追っていきたいと思います。

[今後の開催予定]
2015  214日(土)14:0016:00

・文化人類学(音楽) ・イタリア現代芸術 

2015  314日(土)14:0016:00

・中世イタリア築城術 ・フランス哲学入門

開催場所: ハイアット リージェンシー 京都 地下1Touzanバー
605-0941 京都府京都市東山区三十三間堂廻り644番地2

http://kyoto.regency.hyatt.jp/ja/hotel/our-hotel/map-and-directions.html
ご予約:
各回定員20名 参加料3000円(茶菓子付)
お申込みは、メールまたは電話にてお願いいたします。
電話番号: 090-6662-0360
定員になり次第、受付を終了させていただきます。
どうぞお早目のご予約を!ecoledetouzan@hotmail.co.jp

2014年11月8日の報告
初冬の京都、京都国立博物館は「鳥獣戯画展」で240分待ちという混雑を横目に、今月のエコール・ド・東山では、発表者による煎茶のふるまいもあって、いつもにまして盛りだくさんでした。まとめるの、難しいなぁと思っていたら、何度も参加していただいているお客様が、とても丁寧で詳しい報告を書いてくださっていました。ぜひ、こちらもご覧ください。→「ちーチャンネル」
「頼 山陽と応接の芸術」
島村 幸忠
まず、エコールでは久々となる日本文化についての研究発表をしてくださった島村さんは、修士課程ではフランスの哲学者ウラジミール・ジャンケレヴィッチについて、ノスタルジー論とか死の表象などを論じてこられました。今もフランス語文献の翻訳にもたずさわっておられますが、博士後期課程では研究内容をみずからのルーツである煎茶道(三癸亭賣茶流)にからめて江戸時代後期の歴史家・思想家・文人であった頼山陽と煎茶の文化についての研究をを始められました。
 
今回の発表を聞くまで、恥ずかしながら…頼山陽といっても幕末の人とか『日本外史』(聞いたことある…でも、読んだことない…)の著者とか、その程度の知識しかありませんでした。それでいつものとおり、頼山陽を検索してみました。そうすると、「♪弁生粛々夜河を渡る~」という川中島合戦を唄った詩の作者だったんだ…とか、あら、彼の肖像画が京大博物館にあるのねとか、知らなかった山陽が意外にもどんどん身近になってきます。
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さて今回は、島村さんがお客様の前でお茶を入れくださるというデモンストレーションもありました。その様子を見ていると、発表のなかで言われた「臥遊」すなわち「わざわざ山奥に行かず部屋の中にいても、心のなかで山水を思い浮かべれば心を遊ばせることができる」のだということに納得しました。なぜなら、京都、平安時代に建てられた三十三間堂と明治時代の国立博物館とトライアングルを成すモダンなホテルの地下にあるバー、さらにその一隅にしつらえられたお茶席へと空間はどんどんズームインしていくのに、好奇心はますます開かれていくことを体感できたからです。エコール・ド・東山では、よく味わう感覚です。
 
島村さんが道具を取り出したりお茶を入れたりする動作、お客様とのなごやかなお話、おもてなしの心、「所作」とはこういうことなのでしょう。ちなみにお茶は、一煎めがトロリとした舌触り、お菓子をいただいた後の二煎めはサラッとしているのだけれどお砂糖が入っているのかと思うくらい甘かったということでした。
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さて、西洋文化を研究していると、言語・哲学・思想・政治・文化など様々なことがギリシアとかローマの古典に起源を求めていることに気づかされます。そこでいつも考えるのが、じゃぁ、私たち日本人の場合はどうなんだろということです。今回紹介してもらった頼山陽と「煎茶」を飲みながら語りあうサロン文化は、「お茶でもどうぞ」とお客様を自宅に招きいれたり「お茶する?」とカフェに入ったりする、現代に生きる私たちの日常的なお茶&コミュニケーションのルーツであるように感じました。
頼山陽資料館 http://www.raisanyou.com/

「酸化ストレスとアレルギー」
孫 安生
今回参加していただいた皆さんに味わっていただいた緑茶に含まれるカテキンはポリフェノールの一種で、動脈硬化、脳血管障害、消化管の炎症、老化、免疫力低下などの予防になるということは最近ではよく知られていますよね。実は、これらの病気を引き起こす原因となる活性酸素種(reactive oxygen species; ROS)の発生を抑制する抗酸化物は私たちの体の細胞内にもあるのだとか。そのうちのひとつが、チオレドキシンというタンパク質なのだそうです。通常は、これによって体内の酸化・還元のバランスが上手く保たれているのだけれど、そのバランスが崩れると私たちは酸化型の体になって病気を発症してしまいます。
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酸化・還元のバランスが崩れるのは、「抗原特異的IgE(免疫グロブリンE)がFceRlに結合した後、抗原により架橋されると細胞が活性化される」と
「ROSは脱顆粒に必要な細胞内のシグナル伝達を促進する」からなのだそうです……むつかし……噛み砕いて言うならば……外から異物が入ってきたことを警告する例えばヒスタミンのような化学物質が放出されることによって、アレルギーは促進されるということのようです。ということは、ヒスタミンの放出を抑制すればアレルギーは起こらないだろうというわけで、孫さんは、チオレドキシン結合タンパク(TBP-2)が免疫細胞にかかわる重要な分子ではないかと実験を試みられました。すでに試験管内での実験は成功、現在はヒトにも同様に作用するのかという段階にあるということです。
 
ここで、もうひとつ覚えておきたいのが、やはり体内にあって体内の免疫作用を正常に保っている樹状細胞なるものです。2011年にノーベル生理学・医学賞を受賞したラルフ・スタイマン博士が発見したこの樹状細胞による機能制御を解明するのが、今後の孫さんの展望だそうです。
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さて、わたしは毎年2月頃、必ず目や鼻がむずむず、3月になると目も鼻も喉だけでなく口の粘膜まで真っ赤になり、頭もぼんやり(これはいつもですけど…)、完璧なスギ花粉症患者です。今年は10月終わりだったかに同じような症状がありました。どうやら雑草の花粉が原因らしいです。発症したのはアメリカの大学にいるときでした。卒業できるかどうかを左右する定期テストの真っ最中、そのうえ帰国準備も同時進行でしなくてはならず寝不足と肉体的疲労、プレッシャーとストレスが重なっていました。そんなとき突如襲ってきた止まらないくしゃみ、鼻水、目のかゆみ。大学内の薬局に駆け込み、症状を伝えると「アレジー」と言われてCONTACのカプセルを手渡されました。「アレジーって?」と英語辞書をめくってallergyアレルギーなんだと初めて知ったのだったなぁ、なんてことを懐かしく思い出していました。

とてもお粗末な思い出話で今回の報告を
終えるのは孫さんに申し訳ないのですが、お話を聞いている間は明快な説明に「ふむふむなるほど~」そういう仕組みだったのかと納得していたにもかかわらず、いざ書くとなると難しく何よりも間違ったことを伝えるのは避けたいので、詳しく知りたいという方は以下のサイトをご覧ください。
チオレドキシンについて
http://www.rbs-i.com/thioredoxin/index.html
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発表者を囲んで茶話会

[今月のケーキ]
ヨーロッパの伝統的なケーキ、オペラ。
スポンジにはエスプレッソが染み込ませてあります。
深い茶色にマロンが載せられていて、晩秋を演出する大人のケーキでした。
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[今月のお花]
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