次回エコール・ド・東山は、2014年3月8日(土曜日)14:00~16:00に開催します。
不思議な絵を描いたアルチンボルドという画家と、ギリシア哲学のお話です。
ジュゼッペ・アルチンボルド《ウェルトゥムヌス》と同時代人の詩人たち
小松 浩之
(京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程 日本学術振興会特別研究員DC2)
野菜、果物、動物、魚介類、はては農具、キッチン用品などを組み合わせ、奇妙な人物像を描いた画家アルチンボルド。その晩年の作品《ウェルトゥムヌス》では、四季を司る古代ローマの神に時の皇帝ルドルフ2世の姿が重ねられています。同時代人たちは、この肖像をどのように捉えたのでしょうか。本作品に捧げられた詩を手がかりに検討します。
「哲学」とは何か?―ソクラテスとプラトンを手がかりに
福田 宗太郎
(京都大学大学院 文学研究科 西洋古代哲学史研究室 博士後期課程2年)
「哲学」とは何なのでしょうか? なにか役に立つ営みなのでしょうか? 実は哲学の生まれた古代ギリシアにおいても、哲学はこうした疑問にさらされていました。古代ギリシアの哲学者ソクラテスとその弟子であるプラトンを参考に、哲学の内実について皆さんと理解を深めていきたいとおもいます。
開催場所:
ハイアット リージェンシー 京都 地下1階Touzanバー
〒605-0941 京都府京都市東山区三十三間堂廻り644番地2
http://kyoto.regency.hyatt.jp/ja/hotel/our-hotel/map-and-directions.html
ご予約:
各回定員20名 参加料3000円(茶菓子付)
お申込みは、メールまたは電話にてお願いいたします。
電話番号: 090-6662-0360
定員になり次第、受付を終了させていただきます。お早めに!!ecoledetouzan@hotmail.co.jp
第14回の報告
第14回(2014年2月8日)の報告
エコールの日に私たち主催者が一番気になるのは、その日のお天気です。今回は、前日から大雪の予報が出ていましたが、午後には雪も降らず青空でした。とはいえ寒いなか、ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
「記憶のメカニズム」―ニューロンのはたらきからアルツハイマー病まで
寒竹 泉美
(京都大学大学院 医学研究科博士課程修了 博士(医学) 金沢医科大学協力研究員, 小説家)
寒竹さんは、現在、小説家として活躍されています。1月には、尾崎紅葉の『金色夜叉』を脚本に書き下ろした「三夜叉~金色夜叉より」を着物姿で朗読されたのを見たばかり。実験室での日々はどんなだったのだろうってわけで、医学博士としての研究についてお話いただきました。
内容については、参加者のおひとりが素晴らしくまとめてくださっていますので、こちらをご覧ください。⇒http://chee.ch/diary/2014020800/1.shtml#a010101
いやいや、これ以上何を書くことがありましょうか…。こんなに熱心に聞いてくださる常連さんが、エコールを支えてくださっているのであります!
認知症患者のうち7割の人がアルツハイマー病ということで、その予防が注目されていますよね。ちょうど一か月前にNHKでも特集をしていましたから、ご覧になった方も多いでしょう。
いつかは果てる命だけど、いつまでも「健やかな」頭でいたい、とは思います。患者も生活を共にする家族もつらいから、予防できるなら素晴らしい。寒竹さんも20~30年くらいで進行を止める薬ができるのではないかとおっしゃっていました。研究者がさらりとおっしゃると、心が軽くなりますよね。記憶のメカニズム、病気が進行するメカニズムがわかってきたからこそ、予防や進行抑制ができるわけです。そこには地道な…ネズミの脳をスライスして電流を流す…実験とデータが役にたっているわけで、改めて基礎研究の重要さを実感しました。
けれども、はたして、認知症も諸々の病気も医学の力で克服できたとして、その薬を手に入れられるのか、はたしていつまでも健康な体と脳をもつ年寄りが豊に暮らせる社会なのか、さらなる高齢者増加、それにともなう世界的人口爆発とか、医学の進歩だけでなくてそれを受け入れられる社会基盤を作ることも必要なわけです。医学と倫理もむずかしい課題。社会・経済的格差は、日本だけでなくて世界的に解決しなければならないでしょう。
さしあたり、20~30年待てない私たちは、とりあえず自力でなんとかしなくてはなりません。勉強をつづける、現役で働きつづける、社会との関わりを持ちつづける、エコール・ド・東山に参加しつづける…とか? まぁ、そういうことにしておきましょう。
日本における「68年」学生運動のイメージ
ティル・クナウト
(京都大学大学院文学研究科 日本学術振興会外国人特別研究員 ドイツ・ハイデルベルク大学 日本学研究所 専任講師/日本史)
今、このことを改めて考える日本人、どれくらいいるでしょうか。でも、ティルさんを囲んでの茶話会はかなり盛り上がっていて、ある世代だけでなくて次の世代にとっても記憶の痕跡として拭いさられることなく残っている出来事なのは確かなようです。
そういえば、元首相・菅直人氏も東工大で学生運動にかかわっていたらしく、以前ウィキに「アジ演説が巧く、聴衆を集めるが、検挙を覚悟の上でゲバ棒で逆らってくるようなデモ隊の3列目には決して加わらなかった。巧妙なリーダー」で、警察・機動隊には「4列目の男」と呼ばれていたと書いてあってニヤリとしたのを思い出しました。
さて、東大・安田講堂の映像は私たちも折に触れて目にすることがあるけれど、京大の様子は初めて見ました。百万遍の角のところ? サークルの合宿みたいな無邪気な姿や、笑顔でリヤカーを引っ張って物を運ぶ学生の姿…浅田彰氏みたいな風貌の人もいるけど、彼は次の世代か?…は、今でも11月祭間近に目にする光景。違うのは、68年の学生が運んでいたコーラの瓶は火炎瓶だったということ。彼らは何に怒っていたのだろう…。
フランスなら「五月革命」とか、アメリカならベトナム戦争反対とか、怒りの矛先が見えなくもない。運動に携わった学生の社会的階層が、欧米(アッパーミドル)と日本(中・下層)とでは違ったという点を指摘する人がいるのは興味深いし、完璧な階層社会であるイギリスでは、学生運動が起こらなかったというのも、その点から見れば象徴的な気がします。
誰か理由を書いていないかしらとネット検索。いろいろ推測されているけれど、どれも後付け感が否めませんねぇ。赤軍とか「よど号」ハイジャックとか「あさま山荘」事件とか、これらはもう学生運動の域を超えているし…。団塊世代の方々に、語ってほしいですよね。ティルさんは間もなくドイツに帰ってしまうのですが、口を閉ざす日本人に対して、ドイツ人のティルさんが研究テーマにしているところが面白いわけです。
今月のケーキ
イチゴとホワイトチョコレートムースのケーキでした。葉っぱの形をしたチョコと赤いイチゴがキュート。そうか…もうバレンタインか…
今月のお花
薄いオレンジのアマリリス?春を先取りするような、パステルカラー