2012年12月

明けましておめでとうございます

エコール・ド・東山(とうざん)は、昨年11月に誕生した学びのサロンです。
土曜日の午後、京都大学の若手研究者たちと知的で洗練された時間を作り出しませんか。
2013年1月は、19日 土曜日午後2時からです。
今回は伏見裕子さんと山内朋樹さんが登場します。

伏見さんは、自身の懐妊をきっかけに産屋の研究を始めました。『女性学年報 第31号』(日本女性学研究会発行)に論文が掲載されています。山内さんは、庭園研究の傍ら、脚立に上り樹木を剪定する本物の庭師でもあります。私たちは、「親方」と呼んでいます。どうぞご期待ください。

「香川県伊吹島の産屋習俗と近代」
          伏見裕子(京都大学大学院 人間・環境学研究科 博士後期課程)
 
かつて女性が、出産に伴うとされる穢れを理由に出産時ないし産後の一定期間を家族と離れて過ごした場所、産屋(うぶや)。前近代のものと思われがちですが、香川県伊吹島の産屋は1970年まで使われました。その背景に何があったのか、歴史的に解明します。


「草花が織りなす多様性の庭」
          山内朋樹(京都大学大学院 人間・環境学研究科 研究員、庭師)
 たとえば道端、空き地、線路脇。見捨てられた場所で茂っている草花も、ときに綺麗に手入れされた庭の一画のように見えることがあります。庭からはほど遠いこうした場所に注目しているフランスの庭師、ジル・クレマンの庭を巡りながら、フランス庭園の現在に光を当ててみたいと思います。



日時  2013年1月19日(土) 午後2時~4時
場所  ホテル ハイアット リージェンシー 京都 地下一階 TOUZANバー
定員
  20名
参加費 3000円(お代わり自由のコーヒー、紅茶にホテル特製のケーキ付)
参加申し込み先  ecoledetouzan@hotmail.co.jp




去る12月15日土曜日、第二回エコール・ド・東山を終了いたしました。芸術作品の修復について、そして古典ギリシアの詩について、そして恒例の茶話会と、あっという間の二時間でした。
絵をなおすこと、そして、なおさないこと―《マドンナ・ピカソ》における、めぐりあわない時間たち― by 田口かおり
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 田口さんが修復士になろうと思った三つの理由、まず修復という仕事の幅広さ、次に、幅広い仕事でありながら同時に個人的な作業であること、そして最後は、修復に求められるスキルが「自分をいかに消せるか」ということであったということ、その特殊さに魅かれたのだとか。

 実際お話を聞いていて、修復とは、絵画技術のみならず歴史学、美学、考古学、宗教学、文学、哲学、化学、生物学、力学などが集結しているのだと知って、驚き、また納得。今年話題になった、スペインのキリスト像修復についても触れ、修復の歴史をたどりながら、これまでにもあった興味深い修復例を知ることができました。
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 このウフィツィ美術館所蔵の《マドンナ・ピカソ(ピカソの聖母)》と呼ばれる作品。キュビズムのピカソが描いた作品のようだけれど、13世紀に描かれた絵画で、この状態で修復が完了しているのだそうです。つまり、700年あまりの昔から、今日に至るまでの時間、ふつうなら私たちが現実に目に見ることのできない過去・現在・未来の時間、重なり合ったその時間をこの絵に見ることができるのだと…修復って深い…。

「葡萄酒色の海」から―古典ギリシアの詩文芸とその変奏― by 佐藤真理恵
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 1979年にノーベル賞を受賞したクレタ島出身の詩人オディッセアス・エリティス(1911‐1996)の『アクシオン・エスティ(そは然り)』から、一編の詩を丁寧に読み解いてくださいました。およそ3400年にもわたるギリシア語、つまり、それは紀元前8世紀の詩人ホメーロスの時代から現代詩人エリティスにまで連なる言葉、ギリシア人のアイデンティそのものなのですね。そんな話を聞いていて、私たち日本人も日本語をそんなふうに大切に考えなくてはいけないのではないかしらと、思ったのでした。
 詩の中に出てくる卵、羊の丸焼き、いずれもキリストの復活を祝う復活祭の風物詩。復活祭の季節は春、その春は、ギリシア神話の大地母神デーメーテールが、冥府から娘が返ってくる喜びから輝く季節、つまりギリシア人にとっては、古典古代の時代から祝福してきた大地のよみがえる季節なのです。
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そんなお話を聞いて、古代から現代へと連なる時間を感じ、また、佐藤さん自身が撮影した美しいギリシアの写真をたくさん見て、私たちの心は時空を超えてギリシアへ……。
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その間、茶話会のケーキが、出番待ち!12月は、「キャラメルのババロワと洋ナシムースのケーキ」でした。香ばしいキャラメルの味の後に、さっぱりとした洋ナシの味。「余裕で二つは食べられるな」と、おっしゃる参加者の方もいらっしゃいました。ホテルは、クリスマスのデコレーションが、さりげなく置かれていたり、吹き抜けに飾られたクリスマスツリーは、シンプルだけれどお洒落。ホテルの雰囲気と素晴らしく合っていました。

茶話会では、今回お話をしてくれたお二人、その他、次回以降にお話をしてくれるスピーカー3人を加えて、参加していただいた皆さんとの会話が盛り上がり、4時で終わるのが惜しまれるほどでした。

さて、来年は、1月19日土曜日に開催いたします。内容について、ちょっとご紹介しましょう。まずは、1970年まで使われていた瀬戸内海・伊吹島の産屋(うぶや)について、そして、現代のフランス庭園の多様な姿についてです。詳しくは、こちらのチラシをご覧ください。
https://skydrive.live.com/?cid=bf7d539ceebc0329#cid=BF7D539CEEBC0329&id=BF7D539CEEBC0329%21286

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